2009年3月23日月曜日

週末断食

さて、予てより要望のありました断食についてお話、並びにご説明いたします。まず、私が断食(半断食)を奨励するのは、なによりも自らの(病気克服の)体験が元になっています。この体験につきましては、これまで何度かお話してきましたのでここでは敢えて割愛します。

ところで断食と絶食、似たような表現ですが、意味はどちらも同じと考えていいでしょう。どちらも食を断つという意味ですが、最近は完全水断食を行う指導は少なくなってきました。と言いますのも、半断食(軽い食事をとりながら行う断食)の方が現代人の体質には合っている思われるからです。

断食にはいろいろな方法がありますし、著書も数多くありますので勉強してみるのもいいでしょう。ここでは私の体験を通して推薦できる方法をひとつ選んでご紹介したいと思います。

まず断食の目的を簡単に述べますと、それは身体の大掃除。つまり病気の根本的原因の一つは血液の濁りにあると考えています。そこで断食することによって、内蔵諸器官が休まり、過食からくる過剰栄養分が消耗されます。そして、全身の老廃物(宿便と呼ばれているものも含む)が排出されることで細胞に活力が生まれ、自律神経や内分泌機能が調整されて、いろいろな病状が短期間に治りやすくなるということです。

ここにご紹介するのは短期間(2日間)の断食ですから、あまり神経過敏にならずに行えます。この二日間の断食は、期間が短いので敢えて水断食にします。と言っても侮ってはいけません。いくつかの決まり事は必ず守ってください。とくに、復食は断食の命とも言えるもので、復食の成否が断食のイコール成否と言っても過言ではないのです。

【注意すべきこと】
断食に対して余計な不安をもたないこと。食べなければ力が湧かないなど、イメージで自らを追い込まないこと。確かに腹は空きますが、空腹を感じるたびに体内がまたひとつキレイになっているのだと念じてください。眠くなることがあります、状況が許せば眠ってください。また、いたって普通に生活してください。特別ハードでなければ運動をしても問題ありません。お風呂はぬるいシャワーをサッと浴び短時間に切り上げてください。

【断食前夜】
朝食・昼食を通常の5割程度のボリュームにしてください。動物性蛋白は摂らないように。夜食は抜きます。

【半断食当日〜翌日(2日間)】
朝から何も食べません。しかし、水やお茶は最低1時間に1回程度摂るといいでしょう。(麦茶、ハトムギ茶、柿の葉茶など、緑茶のような刺激の強いものは避ける)

【復食・1日目】
朝食から復食を開始します。無農薬であれば理想ですが、難しければ普通のものでも結構です。ニンジン、ダイコン、キャベツ、キュウリ、カブ⋯、5種類程度の野菜を、ステック状に切り、食べやすい大きさに切り、各々軽く一握り程度を食します。その時、少しの自然塩を振りかけながら食しても構いません。よく嚼んでください。また、こうした野菜を用意できない人は玄米五分粥(お茶碗に軽く一杯)でも構いません。副食は梅干しや塩昆布などをほんの少々。飲み物は、断食中のお茶や水、それに番茶を加えてもかまいません。便意をもよおしましたら、内容をよく観察してみてください。

【夕食】
季節の青野菜のスープや味噌汁(出汁は昆布)、玄米七分粥(なければ白米)などの軽いものにしてください。但し、全ての量は普通食の1/3程度に。

【復食・2日目〜】
朝は五分粥を茶碗に軽く一杯程度。昼食・夕食は通常の半分。3日目から5日目ぐらいは、できるだけ一日2食で腹七分目。復食が始まってから一週間程度は動物性蛋白や油物を摂らないようにしてください。そして、毎日の排便を観察してください。よい便は、匂いもかぐわしく、色もきれいな山吹色です。とにかくよく嚼むことが大切です。

(断食と体質)
近年まさに断食、絶食は若い人たちにも大人気です。テレビでもダイエット特集などで、日本各地の断食道場がよく取り上げられます。しかし、断食の意味を知らずして、闇雲に信じたり、また解ったつもりで手前勝手に行うのはとても危険なことです。まずは基本を知ることが大切です。断食イコール万人に合う健康法というわけではないのです。
断食を行なおうと思う人は、どちらかというと陰性体質の人が多いと言われています。普段から肉食を好み血の気の多い陽性体質の人ほど、断食などやろうとしません。本来、こういう人こそが断食に向いているのですが。
そこで、砂糖、コーヒー、果物、市販の白パンなどを食べ運動不足で胃腸がやられている陰性で貧血な人には、従来の水断食はどちらかというとマイナスになります。
つまり、血液がキレイであると同時に濃くなければ、毒は排出されないのです。したがって、貧血の人はなにはともあれキレイな血を増やすことを考えなければ、体内に蓄積している毒を排出することはできないのです。
そういった観念から、食を摂りながら行う半断食が最近脚光を浴びてきたわけです。ここにみなさんに奨励した断食は、極めて短期間のものなので期間中の摂取は水又はお茶のみとしています。しかし、この短期間の断食ですら、実際には驚くべき効果を生む場合もありますから楽しみです。

(反応について)
短期間ですから、一週間程度行う半断食に比べますと反応は少ないと思いますが、留意点をいくつか挙げておきます。
一般的に半断食を行うと、めまい、立ちくらみを感じる場合があります。尿は濃くなり、悪臭を伴ったりしもます。肩や背中、首の凝り、頭痛、手術した部位の痛み、口臭、胃部の不快感など。初期の反応として眠気、冬の時期にはひどい寒け、逆に顏の火照りなどもあります。総論的に見て、いま持っている悪い部分は一時的に症状が顕著になったりします。一時的に手足がむくんだり、精神的にはネガティヴになりがちです。女性の生理も周期が狂ったりします。
しかし、ここで行う断食は短期間ですから、あまり神経質になる必要はないと思います。あくまでも参考として記しておきます。
さてその対応ですが、陰性の症状には陽性の、陽性の症状には陰性の飲み物を原則的に用います。
例として、だるい、眠い、落ち込むといった陰性の症状に対しては、塩気のある飲み物(味噌汁、梅しょう番茶)が効きます。また、身体が火照る、濃い舌苔ができたり、イライラしたりする症状に対しては、野菜スープや果汁などの陰性の飲み物が効くわけです。

(健康は日々の努力から)
さて、ここまで簡単に断食・半断食について説明してきました。最後に、私たちが決して忘れてはならないことを申し上げます。半断食にせよ、足法にせよ、正中心鍛練法、自然流体操にせよ、継続なきところに結果は生まれないということを記憶しておいてください。日々続けるということです。
ある人の「神はどこにいるのか」との質問に対し、「神は細部に宿る」と答えたという話を漠然と記憶していますが、まさに私たちの健康もまた細部、つまり日々の精進に宿るのです。
最近は、どこもかしこも「すぐ治る、すぐ効く」とか、「驚くべき〜、奇跡の〜」などの宣伝文句が街中に溢れ返っています。筋肉まで電気器具で鍛えようと⋯。かくしてその実態は、言わずもがなですね。
信じたら続ける。粛々と続けてみる。その体験なくして同意も反論もありません。シンプルなものほどプロセスは一見退屈に見えて深く、やればやるほど、接すれば接するほど、奥の深さが見えてくるものではなかろうかと思います。断食、半断食についても書けば一冊の本になります。ここでは、私の体験を元に、いま必要と思われる概要のみを記しました。機会があれば他の書物にも目を通していただき、より理解を深めながら細部に神を宿していただければ幸いです。